今年はガンダムXが放送30周年ということで、年始からちょこちょこ話題を見かけます。世間のタイミング的には閃光のハサウェイだと思いますが、まだ見に行ってないので…
で、Xは私も好きな作品で、作品単体で評価するならシリーズの中で1番好きです。美プラおじさん的にはティファを買いに行くべきだった気もしますが、原作的に一般おじさんが取り合いに参加するのが嫌だったのでスルーしてしまいました。
これは完全に偏見なのですが、この作品が好きな人は「ガンダムX良いよね…」って言いながら静かにコーヒーを飲んでいるイメージで、SNS上で話題が出てくるとここすきポイントを語って静かに去っていくような気がします。
逆に未視聴勢とかだと「ヒロインがかわいい」「なんか打ち切りになっちゃったやつ?」みたいな印象を抱えているイメージ(話数を減らされちゃったので打ち切りとはまた違う気がする)。
さて、好きな作品ではあるんですが、世代では無いので当時を知りません。ほぼ同年齢だし…
そんな訳で「当時の反応はどうだったんだろう?」というのを探ってみよう…というのが本題。こたつ記事というかまとめブログというか…
かつて、パソコン通信があった…
本題の前に、ちょっと眺めの前提を。
今回探ってみたのは「Mapletown Network」という掲示板の過去ログ。こちらは1986年〜2000年頃まで運用されていたパソコン通信上の掲示板で、今もログを見ることができる貴重な場所だと思われます(管理者:草野貴之さん)。
パソコン通信は(触れたことがないので付け焼き刃知識ですが)、インターネットのように世界各地のサーバーに接続できる訳ではなく、電話回線上のホストに対してのみ接続できるというもの。
かなりクローズドな世界で、ある種SNSのような会員制サービスの先駆けとも言えます。Nifty-Serveなどが有名ですね。
なお、Mapletown Networkは草の根BBSに分類されるはずなので、商用サービスではなく一般の電話回線に対してアクセスしていた…というもののはずです。違ってたらごめんなさい。
つまるところ、調査対象としてはかなり偏りがある…ということが前提です。このMapletown Network自体はアニメ専門の掲示板として作られたようですが、実際にはゲームやプログラミング、模型などなど大雑把に「おたく向け」なのだと思われます。
例えばガンダム関連だとこんな書き込みが。
これは半角カナで書き込むのが流行っていた訳ではなく、ZZ放送当時の端末では1バイト文字しか扱えなかったからだと思われます。
文字しか扱えない世界で、そして文字数に関係なく接続時間に応じて電話料金が請求されるサービスで…という中でしっかりした文章でやり取りをされており、当時の文化を伺えます。文通文化の延長みたいな感じだったんでしょうか。
また、ガンダムXの放送は30年前、1996年です。
Windows95が発売され、インターネットという単語が少しずつ広まり始めた頃…ではあるんですが、それでもまだ一般家庭に置いてあるレベルではありません(Windows95自体95年末ですし)。
パソコン通信の利用者数は573万人と、およそ20人に1人程度でしょうか(H27情報通信白書より)。黎明期のインターネットと並行していた時代のようです。
…と、そもそもの利用率が低く、パソコン本体も(バブル期とはいえ)現在のゲーミングパソコンとかと変わらないお値段だったのが90年代初頭のようです。
また、ざっくりと放送当時のログを眺めただけですが、恐らく書き込みをしていた人は20人もいない程度だと思われます。
それから、ガンダムX放送までの90年代に公開されていたのがこちら。
| 年月 | 作品名 |
| 1991年3月 | 機動戦士ガンダムF91 |
| 1991年5月 -1992年9月 |
機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY |
| 1993年4月 -1994年3月 |
機動戦士Vガンダム |
| 1994年4月 -1995年3月 |
機動武闘伝Gガンダム |
| 1995年4月 -1996年3月 |
新機動戦記ガンダムW |
| 1996年1月 -1999年7月 |
機動戦士ガンダム 第08MS小隊 |
| 1996年4月 -1996年12月 |
機動新世紀ガンダムX |
宇宙世紀作品が近い時期に公開されている…というのは頭に入れておいたほうが良いかもしれません。
どれも「ニュータイプ」が重要な要素では無いんですが、ガンダムXではキーワードですね。
ちなみに閃光のハサウェイの小説版は1989年-90年頃のようです。
他、エヴァンゲリオンが95年、機動戦艦ナデシコは96年10月からと、近い時期の有名どころだとこの辺りでしょうか。
放送終了直後の別掲示板。略称としてコミケ表記とコミケット表記が混在している時期のようでした。
そんな訳で調査対象としてはかなり偏りがあり、現代のオタクたちと同じような人種の集まりだとは思いますが、パソコン通信が利用できる人たちだった…という前提で見ていきます。
月はいつもそこにある
それでは本題。
掲示板上の主な話題としては「ストーリー」「キャラクター」「ニュータイプの設定」あたり。
先に最終回後の書き込みを覗いてみると作品に対する総評が書かれてますが、こんな感じ。
賛否両論…というより、少し否寄りな感じでしょうか。悲しい。
DOMEの話聞いてた?という気がしないでもないですが、(宇宙世紀の延長ではないにしても)ガンダムやニュータイプの話はこれでおしまい、という終着点はリアルタイムでシリーズ追ってると認めにくい気もします。
1話から最終話までの反応を見ていくと、この書き込みをされてる方の中だとぎぃさんとYOUさんは好意的に、カモチャンさんときんまさんは否よりな投稿が多めな感じでした(私が読んだ印象でしかないですが)。
この作品が好きな人、まっすぐ進もうとするガロード、少しずつ心を開いていくティファの2人の成長と、見守ってくれたり時に一緒に動いてくれるジャミルや他の大人たち…という、少年少女の成長物語が好きだったりしないでしょうか。私はまさにこれです。
初見時にエスタルド編が終わって「これでガロティファがいちゃいちゃできるな」って後方腕組みしてたら宇宙に拐われちゃって悲しんだ人も多いはず。
一方で「ガンダムに求める要素」としては薄味だとも思います。地球と宇宙の対立も終盤まで明らかにならないし、諸勢力が割拠していて政治ドラマ的なものも少なめ。
「ニュータイプって何?」がこの作品の核ではあるんですが、最後まで明かされないためどんな定義かは視聴者の想像に委ねられます。
そうなると宇宙世紀に引っ張られて当然でもあり、「そうじゃないんだよな…」と解釈する人が居てもおかしくないです。
あと、特筆する戦闘シーンもあんまり無いと思うんですよね。ベルティゴ戦やローレライの海などの「話として好き」はあれど、「個々の戦闘シーン」となると、コルレル戦辺りの方が印象に残りやすい気がします。
MSによる殺陣を求めると物足りない…というのもまた事実だと思います。
ガロードとティファの成長物語として見た場合、「じゃあガンダム作品である必要ある?」と言われると苦しく、この両方で評価するのは難しいよね…ってなります。
後世の人間としてはガンダムXが最後の作品でもなく、どうせガンダムオタクは分かりあえないしな…というのも分かりきっているので気になりませんが、まだSNS上でリアルタイムで反応を見れる時代ではありません。
そんな時代で「ニュータイプは幻想なんだよ」は受け入れにくそうです。この点、SNS全盛の時期に好き放題したGQuuuuuuxとは全く違う空気感かもしれません。
当時のガロードやティファと同じくらいの年齢層がどんな感想を抱いたかは気になる所…
あなた自信が確かめて
最終話に至るまでを見てみると、個々の話での反応は様々。
中盤まではティファかわいい系の反応も多く、後半になるとガロティファは良いぞってなってる投稿もたくさん。
一方でニュータイプ論となるとやはり火種というか、ラストまで「この作品の」ニュータイプとは何かが明かされないので様々な受け止められ方をしています。
参加者が少ないとは言え、流石に全て取り上げると膨大なので一部の書き込みを見てみます。
主観が入っているので更に偏りがあるはず。そして長いです。
1話.月は出ているか?
一話の掴み良いよね…
新作という期待感もあると思いますが、概ね好評なのではないでしょうか。序盤の無口ミステリアス系ティファも刺さる人には刺さるよね。
一年戦争のifと見られてたり、やっぱり宇宙世紀に引っ張られている感じもします。
ちなみに、この作品を語る上でEDと次回予告の演出はよく出てくる話題ですが、1話くらいでしか書き込みは見かけませんでした。
2話.あなたに、力を・・・ ~ 5話.銃爪(ひきがね)はお前が引け
バルチャーやサテライトキャノンなどなど、設定を開示しつつガロードとティファが正式にフリーデンに加入するまで。まだティファかわいい系の反応が目立つような。
この後ガロードはガンダムを売りに行きますが、これもネタにはされてませんでした。
9話.巷に雨の降るごとく


テクス先生良いよね…回。この辺りでキャラクター描写にハマれるかどうかが評価の境目になってそうな気がします。
ガンダム作品の序盤って作品の世界観説明に費やされる気がしますが、荒廃した戦後世界やバルチャー周りの設定は後半薄れていくのでそっちが好きな人にはズレが生じ始めそう。
サテライトキャノンをどう使うか、みたいな描写は戦闘シーン目的な人には好きな要素だと思いますが、作品全体だと実はあんまり出てこないよね…
10話.僕がニュータイプだ ~ 14話.俺の声が聞こえるか!
フォートセバーン編。敵対するニュータイプが初登場ということで、ニュータイプについての書き込みが熱量高め。
宇宙世紀に引っ張られてる感もありますが、そういう描写も多いのでハッスルしちゃうのも仕方ないような。
この作品、特別な能力を持たないガロードが成長していくのですが、この辺に言及する書き込みは全体通して少なめ。やはり人は分かりあえないのか…?
15話.天国なんてあるのかな
これも良いエピソードですよね。脇役2人の背景を語りつつ、この世界の空気感を感じさせられるため好評な反応が多めでした。
ガンダム作品に限らずこういう回ってなかなか無いと思うので、話数の限られる中でも入れてくれてありがとう…の回です。
18話.Lorelei(ローレライ)の海 ~ 19話.まるで夢を見てるみたい
ジャミルの過去を明らかにする回。
ルチルとの再開やGビットなどなど、やっぱりニュータイプが鍵になる話なのでそこに言及されがち。
初見時はビットMS、別に普通のビットで良くない?とか思ってました。エアマスターのビットとかは地上でも活用できそうだけど…
21話.死んだ女房の口癖だ ~ 24話.ダブルエックス起動!
カトックさんやDX登場回。
物語後半へのターニングポイントで、ティファの予知した未来を行動で変えたり、ガロードの過ちは繰り返させないという理念を形作る話。
まっすぐなガロードと、それに影響されるティファやジャミル、そしてカトックさんも未来を信じたくなり…と、過去にすがりたい勢力との対比となる話です。
DXのデザインは初見だと気になるよね。動くとカッコイイのだけど…あのおヒゲはチャームポイントです。
25話.君たちは希望の星だ ~ 29話.私を見て
エアマスターとレオパルド強化のエスタルド編。初見のとき成り行きで参加した紛争なのに航空基地にサテライトキャノン撃つのは良いんだ…って思った記憶があります。
ここでのガロードとティファの距離感良いよね…今までガロード側が好きになっちゃったんだから当ったり前だろ!の精神だったのが、ここでティファからの矢印も大きくなります。良いぞもっとイチャイチャしろ…!
30話.もう逢えない気がして ~ 34話.月が見えた!
一時ティファとお別れになってしまう宇宙の話。
Gファルコンとパーラ、ランスローなども登場しますが、物語としては終わりが見えてくる頃。
ガロードの戦闘スキルについての言及はやっぱり少なく、素直に技量を受け入れられているような感じです。すごいぞ炎のモビルスーツ乗り。
35話.希望の灯は消さない! ~ 38話.私はD.O.M.E…かつてニュータイプと呼ばれた者



最終話直前まで。脱出時のガロティファ良いよね…
この2人のイチャイチャとニュータイプ論、フロスト兄弟や指導者組の目的などについてが多め。
フロスト兄弟、結局は(彼らも被害者とは言え)私怨で世界を巻き込んだので、悲しい悪役と見てもらえるかは微妙な所。
で、39話の最終回に至ります。
ここまではニュータイプに関しての言及は熱量高めな感じもしつつ、何だかんだでここすきポイントが書かれることが多かったような。
「こういう作品なんだ」という結末を受け入れられるかは人それぞれですが、せっかくD.O.M.Eまで来たんだから受け止めて欲しいな…と思います。
が、シリーズとしての人気はこの後も続いていく訳なので、高い熱量を持ってた人がいるのも良いことでもあります。
おさらばで御座います
と、ざっくり見てもすごく長かったんですが、これが当時の草の根BBS上での投稿。
昨年末くらいにGQuuuuuuxも後から見たらそうでもなくない?みたいに火がつけられてましたが、このログを覗いてみると90年代当時もしっかり火種が撒かれてたんだな…というのが分かります。
ログを覗くと他の90年代作品、更に古いものだと逆シャアも出てくるため、この辺りも貴重な史料と言えるかもしれません。
ただ、冒頭で書いたようにかなり偏りがあるため、この時代の総意という訳ではないと思います。パソコン通信時代の最大手ってNifty-Serveのはずなのですが、サービス終了によってログは残っていません。
そもそもパソコン通信がお手軽ではないため、投稿してた人が劇中のジャミルやカトックさんみたいな年齢の方もいらっしゃったのではないでしょうか。
少なくとも30年前に遡ってもガンダムオタクは火種を抱えがちなんだな…というのが見えますね。そう考えると現代は割と平和なのかも…
30周年記念に何らかの動きがあったら嬉しいのですが、公開オーディオコメンタリーとかやってくれないかしら…ブルーレイとかでオーディオコメンタリーが聞けますが、キャストの皆さん仲良しな空気感が伝わってきてすごくすき。
何か発表があったらコーヒー片手にまたお会いしましょう。
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