『スミルノ博士の日記』を読みました

しばらく活字に触れられて無かったんですが、読み物に触れたい欲と表紙が文庫本にしては珍しかったので読みました。

読み終えてから気づいたんですが、この表紙おそらく書店さん側が用意したものっぽいんですよね(紙のブックカバーみたいになってた)。
文庫小説でこんな表紙が用意されてるの珍しいな~と思ったんですが、手にとるきっかけになったのでありがたい。
小説を読むのも久々な訳ですが、見事に「なんか読みたい」欲を満たしてくれる作品でした。

 

ミステリ、全く知識がありません。
一度だけお世話になった方から江戸川乱歩の「三角館の館」をオススメされて読んだことがあるんですが、逆に言えばその程度。あとはアニメ版の氷菓がすごく好き…というくらいです。
そんな訳で推理小説ド素人が何も知らずに読むこととなりました。

舞台は1910年代後半のスウェーデン。探偵のレオ・カリングがかつて関わった事件の日記を読んでいく…という形で物語が進んでいきます。
日記の著者スミルノ博士はある晩に殺人事件に関わることとなり、そこへ招かれたカリングと共に現場検証を行っていく。
殺害されたアスタ・ドゥールは人間性に難がある女なのですが、実はスミルノ博士の元愛人。
また、第1発見者のスティナとその旦那のファビアンもスミルノ博士と関わりのある人物で、血なまぐさく金の絡む人間模様もあり。
そして捜査が進む中でアスタとの関係を知られたくないスミルノ博士も行動を起こし…と、事件の真相以外にも気になる部分が散りばめられていて続きが気になる作品でした。

作品自体は1917年に本国スウェーデンで出版され、その後1960年代に日本で翻訳されて出版されたのが初版のようです。今回読んだものもこれが底本になっているようです。
そのためやや古い言い回しや表現があり、現代人からすると「ん?」と思ったりする部分もありました。翻訳の都合もあると思いますし、この辺は慣れてないからだとは思います。
所々読みづらさは感じつつも、ストーリーが面白いのでしっかり最後まで読めました。
久々に小説を読んだのですが、予備知識ゼロで良かったと思います。カバーに釣られて正解。
こういう体験があるので本屋で本を買いたいんだよな…!


 

ミステリー界隈で有名も有名なはず、叙述トリックの第一人者なんですね。それは確かに予備知識ゼロで読んだほうが良いし、与えた影響も大きそうです。
単に推理が進む中でスミルノ博士が犯人だと推定できる…という形でなく、最後に一計を案じて真犯人をあぶり出していたのが見事でした。
全然疑って読んでなかったので「スティナが犯人なんだ~」くらいに思いながら読んでました。なので最後の最後で「…なるほどなぁ」ってなりました。

他の叙述トリックモノを当然知らないのですが、初登場にしてこの手法はすごいですよね。
単に犯人の手がかりを繋げていくのではなく、「日記なので意図的に隠された部分がある」「自白するためにスティナを巻き込む」などなど、種明かしされるまでそうとは分からずに読めました。
スティナを巻き込んだり役者を仕込んだりは良いんだ…と思わなくもないですが、見事に騙されました。
ミステリ作品、予備知識が蓄積されればされるほど「この手法かな?」ってなりそうなので、そういう意味では何も知らずに第一作を読めたのは大きかったと思います。
そんな訳で久しぶりに良い読書体験でした。

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