『イギリス国王とは、なにか』を読みました

引越し準備が追い込みに入ってきたので、ストックになってしまっていた読んだ本ログです(読み終わったの2週間くらい前)。
例によって趣味全開の読み物です。何だかんだイギリスくんは憎めないのだ。

名誉革命によって近世後半にして立憲君主制を成立させたイギリス。
他のヨーロッパの大国と比べて安定した体制を築いていた訳ですが、なぜ絶対君主制や共和制に傾かなかったのか(一時的に共和制は経験したけど)、という本です。別に王党派とか絶対王制万歳という訳でもないんですが、それはそれとして王様が居るって良いよね…と思います。我らが日本にも天皇陛下がおられますが、他の君主国とはちょっと事情が異なるので比較しにくいよね。

本書の前半は名誉革命までの道のり、後半は名誉革命後から現在までのイギリス王室の役割を書いています。
名誉革命自体は17世紀の出来事ですが、それ以前から議会の役割は大きかった…ということが解説されています。
ジョンくんが失地王になってしまった13世紀に作られたマグナ・カルタが分かりやすいですが、更にそれ以前にも「賢人会議」という議会が設けられており、王位継承の際などに影響を与えたようです。確かにイングランドの頃って王位継承問題が度々起こってる気がする。

後半に出てくるバジョットの「イギリス国政論」というのが印象的で、大雑把に言えば「議会は堅苦しい法制度を司る」「王家は象徴として民衆をまとめる役割を」と整理されているのがなるほどなってなりました。現実的な部分は議会に任せて制度化させ、王家は民衆の感情に訴えかけて結束させる…というハードとソフトの役割分担、というのが立憲君主制の利点としています。
それこそWW2のような国難の時代に大きな役割を果たせる訳で(英国王のスピーチ良いよね(2回目))。HoIで安定度に補正がかかったりするのもいい表現な気がする。

他のヨーロッパの国で見ると、対比になりそうなフランスくんは絶対君主制からのジャコバン派独裁、さらにナポレオンの台頭を許してしまったりと安定した体制を作れなかったし、ハプスブルク家も帝政ドイツも行き詰まったし。中小国は大国の手のひらの上…と考えると、王室と議会との絶妙なバランスで現代まで続いてるんだな…というのが見えてきます。

そんな訳で、対外的にはマイナス点の多いイギリスくんだけど、国家の存続という点では上手く立ち回っており、その秘訣が王室と議会の協調にある…というのが分かる一冊です。イギリスくんの強かさを学べる。
以前エリザベス二世の伝記を読んだり、HoIの影響でジョージ六世はそれなりに知ってたり(映画「英国王のスピーチ」良いよね)と偏った知識はあるのですが、更にウィンザー朝の解像度が上がった気がします。ジョージ五世もすごい有能だったんですね…!(Kaiserreichの初週に亡くなってしまうというイメージしかない)
そんな偏った知識以外にもイギリス王家を学べる本でした。

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